大笹原神社の境内、本殿のそばには「寄倍池(よるべの池)」と呼ばれる池があります。

木々に囲まれ、今は静かな水面をたたえるこの池には、古くから水にまつわる伝承が残されています。

雨乞いと寄倍池

寄倍池は水深が深く、かつては「底なし沼」ともいわれていました。

伝承によれば、昔、日照りに苦しんだ人々が雨を願い、二基の神輿を池に沈めたといいます。

その後、どれほど日照りが続いても池は涸れることなく、満々と水をたたえるようになったと伝えられています。

農業にとって雨や水は、人々の暮らしを左右する大切なものでした。

寄倍池に残る雨乞いの伝承からも、水を願い、神に祈ったこの地域の人々の暮らしをうかがうことができます。

池のほとりに祀られる水天宮

寄倍池のほとりには、水を司る神を祀る水天宮があります。

地域に残る資料では「水神社(水雲神社)」と記され、水波乃売神(みづはのめのかみ)・大蛇魂を祭神としています。

創立年代は明らかではありませんが、日照りの際にも涸れないと伝えられる寄倍池とともに、水への信仰を集めてきました。

また別の伝承として、安永八年(一七七九)に浄勝寺へ勧請された「水雲霊神(高雨龍神の霊)」を八幡宮と称し、その後「水雲神社」と改め、大笹原神社へ移したとも伝えられています。

現在の社は、平成十二年(二〇〇〇)二月に再建されたものです。

今も水をたたえる池

かつて雨乞いが行われ、二基の神輿を沈めたと伝えられる寄倍池。

その出来事がいつの時代のことなのか、また本当に池の底に神輿が残されているのかは、今となっては分かりません。

それでも池は現在まで境内に残り、そのほとりには水天宮が祀られています。

国宝の本殿や重要文化財の篠原神社とともに、寄倍池もまた、大笹原神社とこの地域に伝えられてきた信仰を今に伝える場所のひとつです。

参拝の際には、ぜひ池のほとりにも足を運んでみてください。